<SXSW2019>人工知能を取り巻くセッションから見える新しい動き

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米国オースティンにて毎年3月に開催される「SXSW<サウス・バイ・サウスウェスト>」では、25のトラック(カテゴリー)に分類された約2,000コマのセッションが開かれます。スピーカーは5,000名近くに及びます。SXSWがおすすめするFeatured Sessionからテーマごとにピックアップして紹介していきます。

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AIの議論は技術から志へ完全に転換か?!

SXSWはテクノロジーのカンファレンス?とよく聞かれることがありますが、学会や技術展示ショーや商談会とは少し違います。テクノロジーのある未来を議論する場と捉えてもらう方が正しいように思います。

人工知能については2015年頃から盛り上がり様々なサービスの紹介がされて、2017年にはAI Everywhereとして公式なトレンドとして発表されました。社会的に大きく変えうる存在として皆が期待するのと同時に「AIを育てる際の規定や持つべき倫理観」といった哲学的な問いがより多く上がってきたのです。さて、今年はどのようなセッションがあるでしょうか?

A.I.ファシズム論から2年、今後はアーティストとの対談「Featured Session: Trevor Paglen and Kate Crawford」

3/9 12:30-13:30

https://schedule.sxsw.com/2019/events/PP102630

2017年にもSXSWに登壇したマイクロソフトの研究者であり、AIの社会的影響を研究する機関AINowを設立したケイト・クロフォード。当時は「A.I,ファシズム」という言葉を使いながら、無意識化のバイアスや学習させるデータの公平性について言及していました。彼女が今年対談するのは、スペースXのファルコン9とともに宇宙に打ち上がった芸術作品を作ったアーティストのトレバー・パグレン。実際の作品作りをする中でも人工知能とともに作ったビジュアル作品などもありますが、彼はある程度人工知能の回答に反映されるバイアスを見込みながら作品を制作したとインタビューでも答えていたのを見た事があります。

果たして、私たちが人工知能を開発するとき・使うとき、どのような視点を持つべきなのでしょうか?

有名天才ハッカーの真髄に迫る「Featured Session: Jailbreaking the Simulation with George Hotz」

3/8 15:30-16:30

https://schedule.sxsw.com/2019/events/PP102411

高校生ながらiPhoneの発売後にジュエルブレイク(脱獄)を初めて行った天才ハッカー ジョージ・ホッツ。Playstation3やAndroidなど次々にハッキングをしていった彼は、普通の自転車を自動運転にするオープンソースのキット開発する人工知能スタートアップcomma.aiを立ち上げてSXSW2017に登壇した。さて今、彼の頭の中には一体どのような“脱獄”の候補があるのでしょうか?

創薬開発スタートアップを推進する志を聞く「Featured Session: Behind the Scenes: Designing Better Medicines with Big Data & AI」

3/10 12:30-13:30

https://schedule.sxsw.com/2019/events/PP100664

ジョアンナ・シールズはデジタル分野における起業家であり、グローバルテクノロジー業界における経験豊富なリーダーとしてGoogleやFacebookなど数々の名だたるテクノロジー企業の成長に携わってきました。現在は人工知能を活用した創薬スタートアップBenevolentAIのCEOを務めています。パーキンソン病やALSに効く薬を開発しています。

ジョアンナはオンライン上で不当な侵害を受けている人々や子供たちの安全性の改善や、テクノロジーによって反テロリズムやフェイクニュースなどの問題を解決していくかについての新しい視座を持っています。そのような彼女がどのような医療の未来、科学と技術、そしてビジネスを考えているのか。注目が集まります。

いかがでしたか?

新しい技術、無骨なテクノロジー、プロトタイプ。SXSWはそれらを発見するのではなく、その先の未来を見据え、対話をする場所に変わっているのがお分りいただけたと思います。

どんな新しい視座が出てくるのか。楽しみにしていてください!

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