所有の未来:シェアリングエコノミーが世界を救う?!(SXSW2014)
日本でもTIMESのカーシェアリングを皮切りに徐々に広まりつつある「シェアビジネス」の流れ。
最近話題の空き部屋レンタルプラットフォームのairbnbをはじめ、新たな「シェア」の流れがすぐそこまで来ています。
それは「Sharing Economy(シェアリングエコノミー)」と呼ばれ、SXSW2014でも大きなトピックでした。
まずは、わかりやすい事例「airbnb」のおさらいを。
airbnbは空き部屋を貸したい人と借りたい人を繋ぐプラットフォーム(コミュニティ)です。僕も最近は海外旅行に行く時によく利用します。
また(同居人が嫌がるからやらないけど)airbnbのアプリから使っていない自宅の4畳半の部屋を、海外や国内の旅行者に一日単位でレンタルすることだってできちゃう。借りる人はairbnbにお金を払い、貸す人はairbnbからお金を貰い、そしてairbnbは手数料で儲けるワケですね。日本を含め諸外国ではこのビジネスはグレーゾーン(ほぼ違法)ですが、「違法だから」と頭ごなしに否定はできない...あきらかに法律が時代に追いついていない感を受け取りました。そこで、この「Sharing Economy」は僕らの未来をどのように変えうるのかを見ていきたいと思います!
●予報01:Sharing Economyのサービスの急増
モノ、サービス、交通、空間、お金...様々なシェアサービスが急増しています。
・使っていない物のレンタルを仲介する「yerdle」
・ハンドメイド製品の販売マーケットプレイス「etsy」
・お手伝いのマーケットプレイス「task rabbit」
・空いてる部屋を宿として貸しだす「onefinestay」
・空いてる会議室を貸しだす「LiquidSpace」
・時間の空いてる運転手を探す「Lyft」
・金銭支援のプラットフォーム「KickStartar」
・個人間の消費者金融「LendingClub」などなど、めまぐるしい程沢山ありますね。KickstartarやEtsyはMAKERSムーブメントとも非常に相性がよく日本でも注目されています。もちろん日本でもいくつかのサービスが存在します。
・使っていない車を時間貸しする事ができる「Cafore」
・空いてる駐車場を一時利用として貸し出す「あきっぱ!」
・相乗り相手を探す事ができる「のってこ!」
・ソーシャル旅行サービス「Trippiece」
Yahoo!トラベルも日本での実験的試みとして、「軽井沢の別荘特集」を最近テストローンチ。
また、アメリカでは時間のある個人をタクシー運転手のように利用できるサービスも運営する「Uber」は、日本ではタクシー業界への影響が危惧された結果、ハイヤー配車のハイグレードサービス「Uber BLACK」のみでローンチ...と、日本でも様々な模索が続けられています。様々な制度や受け入れる社会基盤の変化が、実験的サービスの立ち上げによって促されていくかもしれません。
●予報02:従業員?顧客?その境界が無い"PEER(仲間)"ビジネスモデル
airbnbの場合、家を貸す側も借りる側も「顧客」である一方で「従業員」でもあります。
そこで重要になってくるのは、その家を貸す側と借りる側の関係をどう保つ「場」を準備できるか。そして、どうその場(コミュニティ)を育てていけるかが成長の鍵となります。Robin Chaseは、それを「PEER(仲間)モデル」と呼んでいます。
[映像:TED:ちょっと車を貸してくれますか(Robin Chase)]
カーシェアリングの走りZIPCARを立ち上げた後、個人車のシェアサービス「BUZZCAR」を立ち上げた彼女は、借りる側と貸す側双方に納得がいく保険の整備をはじめ、安心感のあるコミュニティを作り上げる事に尽力し、成功を得たようです。
彼女はSXSW ECO2013のKeynoteで、「持続可能な社会を作るためにすべき3つの事」を自身の事業と絡めながら語っていましたので引用させていただきます。
・使っていないようなもの(余分なもの)を開拓しよう・強靭なコミュニティを作ろうー怖い未来のために本当にやるべきことをしよう・参加のためのプラットフォームに着目しようー出来る限り早く育て、出来る限り大きくしていこう - Robin Chase, BUZZCAR
彼女は事業を行う事がお金を生み出し、自分の楽しみにもなり、持続可能な社会作りにも繋がると明るい顔で話しておりました。素敵なカッコいい女性ですねぇ。
●予報03:「人間の本来あるべき姿」にテクノロジーを使って戻っていく
若者の車離れが顕著と言われていますが、果たして「独占所有すること」はそこまで私達にとって重要なのでしょうか?大量のモノを生産・消費している一方でゴミは増えてるし、新たにオフィスビルを作る一方でモバイルワーカーは増えているわけだし...悶々としている時に、SESSIONでハッとさせられた2つの言葉をご紹介します。
Sharing Economyはミレニアルズ(20世紀末に生まれた世代)により加速するでしょう。なぜなら、彼らは「本来あるべき姿」に飢えてるから。ーNoah Karesh, Feastky
Sharing Economyにおいて「貨幣」は絶対的価値ではなく、価値の一種でしかない。- Natalie Foster, Peers
たしかに、「何で、そもそもいけないんだっけ?」という今まで漠然と思っていた疑問が、テクノロジーの力を使って正当性を帯び、ビジネスを模索して社会を変える同世代の起業家は増えていきそうです。ワクワクしますね!(早く追いつかないと...)