購買の未来:E-Commerce は 次のフェーズへ(SXSW2014)

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今日もまたAmazon Primeで会社に小包が届きました。

すぐに欲しいものがある時は街へ出ることから「とりあえずamazon」が日常になっている人も多いはず。

このようにE-Commerceは私達の購買体験を大きく変えましたが、SXSW2014では「Amazon時代の次のEC」を模索するセッション「Building Brands Online - The Future of eCommerce」が行われておりました。

今回はその模様をお伝えさせていただきます。

Amazonを目指して急速に増加していったECスタイルとは違う、「新たなECスタイル」が台頭しています。

今までは、どれだけ他の店舗よりも安く送料をかけずに届ける事ができるのか?という事が、他のショップとの差別化のポイントでした。

しかしこれからは、どれだけユーザーの欲しているものをダイレクトに理解し、オーディエンスをファンにすることができるか?を、従来の慣習や手法にこだわらず挑戦している会社が成功してきそうです。

今までとは違う原則(戦略、営業、販売、開発、ビジネスモデル...etc)に捕われない3つのECから、未来を考えていくセッションでした。

●予報01:従来の業界ビジネスモデルに捕われない発想が勝機を生む。

SpotifyやPandraの人気からもわかる通り、映像や音楽は月額定額ストリーミングサービスへとユーザーが移動しています。

そのストリーミングサービスのビジネスモデルをワインに適応したようなワインショップ「ClubW」の紹介です。

音楽・映像と同様に、ワインも「数が多くて、どのワインの選べば良いのかわからない…」というユーザーの悩みが尽きません。月額13ドルで、自分の好みに合わせてワインキュレーターの目利きが選んだワインが3本届きます。

ネットを基本にしたサービスなので動画でのプレゼンテーションに力を入れています。(Club W Youtubeチャンネル

ワインに興味がある人がもちろんユーザーになるので、ワインの種類の説明や豆知識、自分の元に届いたワインの説明...など、動画を通じたユーザーへの語りかけが徹底されています。

同時に、SNSやメールコミュニケーション、ユーザーデータを用いながら、小さい街のワイン屋のように個別対応している姿勢も、機械的な大型総合商店型なECとは違う新しいブランドに繋がっていると言います。

音楽を越えてワイン業界に来た「目利きによるキュレーション&定額配送」のビジネスモデルは、まだまだ他の業界にも広がるかもしれません。

●予報02:コミュニティをどれだけECや商品開発に活用できるかが重要なキーワードに

まずは、こちらの一見Pinterestのようなこのファッションスクラップサービスをご覧下さい。

Style Saint」は、このようなWEBサービスコミュニティを保有するファストファッションブランドです。

ファッション好きのコミュニティを使ってマーケティング費用とプロモーション費用を削減し、商品を開発。クローゼットや倉庫に眠ってしまう「ファッションの無駄」な部分を省き、小ロットでサスティナブル、高品質低価格な洋服をユーザーに提供しています。

普通はまず商品を作った後に、「どうやって顧客との関係を維持していくか(CRM)」を構築していきますが、今後はStyleSaintのように、逆転発想でまずサービス(コミュニティ)を立ち上げ、そこから実際の製品開発を進めるビジネスも増えてくるかもしれません。

まさに、顧客の反応を間近に見ながら進めていくリーンスタートアップなファッションブランドですね。

●予報03:超ニッチに振り切る事で最高の購買体験に繋げる。

結婚式向けの貸衣装屋を利用した事がある方はわかるかもしれないですが、「型は古くてカッコいいのが無い…意外に高い…そしてサイズも無い!!」というような事が頻発します。

もっと、そこを改善できないか?という発想から生まれた男性向けレンタルタキシードショップ「The Black Tux」のご紹介です。

自分でサイズを図り(映像もわかり易いしオシャレ!)、WEB上のフォームに入力。
型を選んで注文すると、イベントの1週間前に自宅にカッコいいタキシードが到着し、使った後は送り返すだけ(送料無料!)。サイズが合わなかった時の保証もしっかりしているようです。

メーカーと直接契約する事で無駄な中間コストを省き、常に最新のタキシードを適量仕入れています。

すごくニッチで市場規模は小さいかもしれないけれど、それ故に顧客満足度を高める事が可能だったという良い事例ですね。そして収益の数%は慈善団体の支援に使われているそうです…なんと紳士的!

リアルな店舗は持たないにしても、テクノロジーとデータの力を使って地元の商店が戻ってくる可能性もあるかもしれませんね!